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登山家河野千鶴子さんに思う女性の生き方

2日連続でNHKクローズアップ現代で女性の生き方を取り上げていて、考えさせられることが満載だった。昨日のサンドバーグ氏については本も読んでいたので概ね予想通りだったが、今日の河野千鶴子さんのストーリーは衝撃だった。

三浦雄一郎さんがエベレスト登頂に成功したニュースの裏で、河野さんが遭難死されたニュースは耳にしていた。三浦さんが多額の費用をかけた反面、河野さんは単独登山でかつ資金も少なかった、というところは報道でなんとなく耳にしていたが、それ以上のことは何も知らなかった。しかし今日のクローズアップ現代で、その生き方に感銘を受けた。

死後自宅から見つかった、多くの手記から河野さんについて色々なことがわかってきたという。手記の中の「共働きなのに、なぜ女だけが子育ても家事もしなければならないのか。」「仕事も家庭も自分は中途半端にしている。」「いつも他人のために生きている私はいったい何なのか。」このあたりの河野さんの苦悩は、多くのワーキングマザーに共通するのではないか。さらに、「心理学を学びたいとか、あれもこれもチャレンジしていた。自分が自分らしく生きるために、自分探しをしていたのではないか。」という友人談もあり、この気持ちも痛いほどわかる。

そして河野さんが自分探しの中で出会ったのが、山だった。山に男女の線引きはなかった、自分にも無限の可能性がある、と感じたそうだ。しかし、あるときパーティーで登山をしていて、ある男性から「女性は体力がなく頂上までいけないかもしれないから、アタックは遠慮してくれないか。」と言われたとのこと。平等であると思っていた山でまで、女であることで差別を受けてしまったのだ。ほかの誰かと一緒に行くと、ほかの人の判断で自分の限界を決められてしまう。それで、たった一人で山頂を目指すようになった、という河野さん。

一人で山頂を目指した理由についてこれまでの報道では耳にする機会はなかったが、ストンと腑に落ちた。「自立して自分の生き方を模索する、それが生きている証である。」と。まさに、同感である。河野さんは部下40人を束ねる病院の管理職で、3人のお子さんを育てながら仕事を両立させた女性だということも初めて知った。そこまですべてを手に入れたように思えても、まだ、自分探しをしなければならなかったのだろうか。

何にも全力投球できていないような気持ち、自分はまだ何も成し遂げていないような気持ち、そんな気持ちが、河野さんほどの人の中にさえあったのだろうか。

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